過渡期のアメリカ 2020 8 30

書名 最終決戦 トランプvs民主党
著者 高橋 和夫  ワニブックスPLUS新書

「主役は、サンダース」
 アメリカ大統領選挙は、
トランプ氏とバイデン氏の戦いになりましたが、
本当の主役は、サンダース氏かもしれません。
 かつてのアメリカでは、サンダース氏の主張は、
極めて少数派の主張に終わったと思います。
 しかしながら、2016年大統領選挙においても、
今回の大統領選挙においても、
サンダース氏の主張は、大きな影響力を持っています。
 サンダース氏は、「民主社会主義者」と言われていますが、
要するに「社会主義者に近い」と言ったほうがわかりやすいでしょう。
 かつてのアメリカでは、
このような主張は受け入れがたいものだったでしょう。
しかし、今のアメリカでは、大きな広がりを見せています。
 なぜ、アメリカで、社会主義的な思考が広がっているか。
それは、中流階級の減少と貧富の格差です。
 よく言われるのが、「1%の金持ち」と「99%のその他」ということですが、
これは、前世紀のことであり、
今は、「0.1%の富豪」と「99.9%のその他」になってしまったかもしれません。
これは、民主党の政策にも一因があると言わざるを得ません。
(下記の「Flyover country 2018 10 6」を参照)
 いわゆる「IT産業」の興隆は、
貧富の格差を拡大させる一因となっているでしょうが、
世界は、「Software Eats Hardware」の時代から、
「Software Eats Everything」の時代に移行するでしょうから、
「IT政策」は推進する必要があります。
たとえ、アメリカがやらなくても、中国が強力に推進するでしょう。
(下記の「Software Eats Everything 2020 1 26」を参照)
 しかし、工業力は維持したい。
つまり、労働者は守りたい。
そこが政治家の悩みでしょう。
「白人が少数派になってしまうか」
 著者によると、「スペイン語が必要になるアメリカ」という段落において、
人口統計では、アメリカで生まれる子供の過半数は非白人になっている。
アメリカは、すでに白人が多数派という社会ではなくなりつつある。
(中略)
 人種的に多様化するアメリカで特に増えているのが、ヒスパニックの人口だ。
このままいくと、2065年には、
アメリカ人口の4分の1がヒスパニック系になると予測されている。
(引用、以上)
 かつて、アメリカでは、
「WASP(White Anglo-Saxon Protestant)」が主流であると言われたのは、
遠い昔になってしまうのでしょうか。
「The Establishment」
 2016年の大統領選挙において、
トランプ氏は、「The Establishment」から政治を取り戻すと言っていましたが、
その後、どうなったでしょうか。
「The Establishment」から猛反撃を食らったというところでしょうか。
 メディアから、いろいろなことを書き立てられて、
トランプ氏は苦境に陥るのではないかと予想しました。

Flyover country 2018 10 6

「超一極集中社会アメリカの暴走」(小林由美)という本には、
このようなことが書いてあります。
 アメリカ国民は、富の集中や金権政治にうんざりしています。
労働者の味方だったはずの民主党が、
クリントン政権の頃から都市の進歩派富裕層を主要な資金源に取り込み、
彼らの利益を代表するようになりました。
 アメリカは、「Flyover country」(上空を飛ぶ国)になって、
つまり、権力者も資金も、東海岸と西海岸を飛行機で往復するだけで、
その空路の下にある大陸中央部は、完全に無視され、馬鹿にされている。
中西部や南部の労働者は、生活困窮の原因をそのように認識していました。
(引用、以上)

Software Eats Everything 2020 1 26

「塗炭の苦しみ」
 これは、私の親戚から聞いた話ですが、
知人は、「Windows」が変わるたびに、
パソコンを最新型にしたそうです。
 たとえば、「Windows 3.1」から「Windows 95」に変わる時、
「Windows 95」から「Windows 98」に変わる時に、
最新型のパソコンに買い替えたそうです。
 パソコンは、大手メーカーの最新鋭のものでしたので、
価格は30万円以上になったそうです。
 その人は、パソコンを買い替える資金の捻出に苦労して、
夫婦喧嘩までしたそうです。
 しかし、その人が「Microsoft」の株主だったら、
あるいは、「Google」の株主だったら、資金には困らなかったでしょう。
 MicrosoftもGoogleも、株価が10倍以上、
一説には、100倍になったと言われます。
 もちろん、当時、日本人は米国株を買うことはできませんでしたので、
これは、あくまでも架空の話です。
 では、その人は、パソコンメーカーである、
「NEC」や「富士通」の株を買えばよかったのか。
 実は、そういう企業の株価は、全盛期の半分以下になったと聞いたことがあります。
これは、決して「NEC」や「富士通」が怠けていたわけではありません。
両社ともに、世界トップレベルの製品を作り続けています。
 しかし、「Software Eats Hardware」という時代の趨勢には勝てなかったのです。
どんなに世界一のパソコンを作っても、
ソフトウェアのMicrosoftやGoogleには勝てなかったのです。
 この30年間、「ものづくり大国」の日本は、
そして、私たち日本人は、
塗炭の苦しみを味わうことになりました。
つまり、私たち日本人は、お金を失い、生活が苦しくなりました。
もちろん、製造業に従事するアメリカ人も生活が苦しくなりました。
 しかし、ソフトウェア産業を責めることはできません。
次の30年間は、「Software Eats Hardware」どころか、
「Software Eats Everything」となるからです。
 もちろん、日本人だって、
優れたソフトウェア技術者は多かったのです。
日本でも、Googleのような検索エンジンを作ったと聞いたことがあります。
 しかし、日本では、ソフトウェアは、
ハードウェアの「オマケ」のような存在であるという固定観念が、
日本をソフトウェア大国にするのを妨げてしまったのです。
「May I dream ?」
 いつまで、塗炭の苦しみは続くのか。
若者や子供たちから天才プログラマーが出現する夢を見ます。
周回遅れだった日本のAIが、世界のトップランナーとなる日が来るのです。
(注)
 忘れてはいけないのが、中国には、アメリカと似たようなIT企業があります。
アメリカが発展をやめれば、世界の覇権は、中国に移ります。
だからこそ、アメリカのIT企業は、競走馬のように、ひたすら走るしかありません。



























































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